みんなの哲学集 ~ 唯物弁証法

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唯物弁証法(ゆいぶつべんしょうほう、Materialistische Dialektik)または、弁証法的唯物論(べんしょうほうてきゆいぶつろん、Dialektischer Materialismus)は、カール・マルクスによって定式化された歴史発展の法則であり、「階級闘争」の理論。1843年にパリに移住したマルクスは、すでにドイツ哲学のうちヘーゲルの「弁証法」とフォイエルバッハの「唯物論」を受容していた。弁証法は、創造-破壊-新たな創造という不断の過程を通じて前進する人類の傾向を指し、ゲルツェンによって「革命の代数学」といわれたように、変化を肯定する考え方だった。一方ヘーゲルの「絶対者」を「人間」「物質」に置き換えて解釈したフォイエルバッハの唯物論は、「人間は、その食うところのものである」と言いあらわすことができる。ロマンチックな希望より食欲のほうが確実・徹底的な変革の基礎と思われたので、マルクスはこの唯物論の上に革命の弁証法を置くことを考えた。しかしフォイエルバッハの唯物論は 1. 「物質」を単に外界の模写(感覚)と考え、それは思惟されたもの(精神)と区別がつかない 2. 「物質」を静態的なものとして扱うという難点があり、時間を扱う歴史哲学や変化を説く革命理論と折り合わないことにマルクスは気づいていた。パリで労働者の政治運動を見聞し、人間が社会的動物であるという見方を吸収したマルクスは、フォイエルバッハの唯物論を「意識が人間の存在を決定するのではなく、人間の社会的存在が意識を決定する」という洗練された定式に変えた。さらに1844年にエンゲルスに会い、すでに書かれていた『経済学批判大綱』の主張である資本と労働の分離や私有財産への攻撃を知ったマルクスは、「階級闘争」という新しい観念をヘーゲル弁証法とフォイエルバッハ唯物論を結合させる要として用いる。「階級闘争」は生活の資を得ようとするところから「唯物的」「経済的」な運動である。その運動は社会制度を作り、どの社会も時がたつとそれ自身の否定を生み出すという意味で「弁証法的」「政治的」なのである。エンゲルスはこのようなマルクスの哲学への貢献を、「自然と歴史の唯物論的解釈に弁証法を引き入れた」ことであると明記した。ヘーゲルにとって思惟の範疇と考えられた「弁証法」を、物質的な過程に置き換えることについての困難は、マルクスによって気づかれなかったか無視された。「哲学者たちは単に世界をいろいろに解釈してきただけだ、我々の仕事は世界を変革することなのに」という哲学への軽蔑は、行動を欲するマルクス主義者に受け継がれる。